Windows上にAlmaLinux OS 9.5をインストールする方法
はじめに
クラウドサービス(AWS、Azure、GCP、OCI)を利用する上でLinuxの知識は必須となっています。2025年現在、クラウド環境の多くはLinuxベースであり、基本的なLinuxコマンドやシステム管理の知識がないと業務に支障をきたすことが増えています。本記事では、自己学習環境としてWindows PC上にAlmaLinux OS 9.5の仮想マシンを構築する方法をご紹介します。
Linuxラーニング環境のアーキテクチャ図

CentOSの終了とAlmaLinuxの登場
CentOSプロジェクトの変更
2020年12月、Red Hat社はCentOS Linuxの開発終了を発表しました。CentOS 8は当初2029年までサポート予定でしたが、2021年末で終了となり、多くのユーザーに影響を与えました。CentOSはRHEL(Red Hat Enterprise Linux)の無償クローンとして広く利用されていましたが、Red HatはCentOS StreamというRHELの開発版に移行し、安定したダウンストリームディストリビューションではなくなりました。
AlmaLinux OSへの移行理由
CentOSの終了発表を受け、安定したRHELクローンを求めるユーザーのために、いくつかの代替ディストリビューションが誕生しました。その中でもAlmaLinux OSは以下の理由から特に注目されています:
- CloudLinux社が主導し、安定した開発・サポート体制がある
- コミュニティによって運営される非営利団体「AlmaLinux OS Foundation」が維持
- RHELとの完全な互換性(1:1のバイナリ互換)を維持
- 10年間の長期サポートを提供
- 無償で利用可能
- アップデートが迅速で安定している
AlmaLinux OSの背景と特徴
AlmaLinux OSとは
AlmaLinux OSは、CentOS Linuxの代替として開発された、エンタープライズグレードのLinuxディストリビューションです。名前の「Alma」はラテン語で「魂」を意味し、CentOSの精神を引き継ぐという意志が込められています。
主な特徴
- RHEL 9.5をベースにした最新の安定版(本記事執筆時点)
- サーバー環境からデスクトップ環境まで幅広く対応
- SELinuxによる強固なセキュリティ
- エンタープライズでの利用に耐える安定性
- 豊富なソフトウェアリポジトリ
CentOS 8からの主な変更点
- システム要件が若干上昇(メモリ推奨値の増加)
- DNF(Dandified Yum)パッケージマネージャの改良版を採用
- Cockpitによるウェブベース管理インターフェース
- Podmanによるコンテナ管理機能の強化
- より優れたハードウェアサポート
AlmaLinux導入の意思決定フロー図

インストール準備
AlmaLinux OS 9.5のダウンロード
AlmaLinux OSは公式サイトからダウンロードできます。以下のイメージタイプから選択可能です:
- Minimal ISO: 約800MB程度の最小インストールイメージ
- DVD ISO: 約9GB程度のフルインストールイメージ
- Boot ISO: 約700MB程度のネットワークインストール用イメージ
推奨: インターネット接続が安定している環境であれば、Minimal ISOが推奨です。VMware上でのテスト目的なら、この選択で十分です。容量も少なく、必要なパッケージのみを後からインストールできるため効率的です。
VMware環境の準備
本記事ではVMware Workstation Player(無償版)を利用します。2025年現在の最新バージョンをインストールしておきましょう。以下の環境を推奨します:
- VMware Workstation Player 17.x以上
- ホストPCに8GB以上のRAM
- 空き容量30GB以上(仮想マシン用)
- CPU仮想化機能(Intel VT-x/AMD-V)が有効化されていること
インストール手順
1. VMwareで新規仮想マシンを作成する
- VMware Workstation Playerを起動し、「新規仮想マシンの作成」をクリックします。
- インストーラディスクイメージファイル(.iso)を選択し、ダウンロードしたAlmaLinux OS 9.5のISOファイルを指定します。
- ゲストOSの選択では「Linux」を選び、バージョンは「Red Hat Enterprise Linux 9 64-bit」を選択します(AlmaLinuxはRHELベースのため)。
- 仮想マシン名を入力します(例:「AlmaLinux 9.5」)。
- ディスクサイズは最低30GBを推奨します(20GBでも可能ですが、余裕を持った方が良いでしょう)。
- 「仮想ディスクを単一ファイルとして格納」を選択します(後々の移行や変換が容易になります)。
- 「ハードウェアのカスタマイズ」をクリックし、以下の設定を推奨します:
- メモリ: 最低2GB(2048MB)、推奨4GB(4096MB)
- プロセッサ: 2コア以上
- ネットワークアダプタ: NAT(初期設定のまま)
- 「完了」をクリックして仮想マシンを作成します。
2. AlmaLinux OS 9.5をインストールする
- 仮想マシンを起動します。
- 起動メニューが表示されたら「Install AlmaLinux 9.5」を選択します。
- 言語選択画面で「日本語」を選び、「続行」をクリックします。
- インストール概要画面で、以下の項目を設定します:
- 地域と言語: 「東京」を選択
- ソフトウェアの選択: 目的に応じて以下から選択
- サーバー環境の場合: 「最小限のインストール」
- デスクトップ環境の場合: 「ワークステーション」または「GNOME デスクトップ」
- インストール先: 作成した仮想ディスクを選択
- ネットワークとホスト名: ネットワークを「オン」にし、任意のホスト名を設定
- 「インストールの開始」をクリックします。
- インストール中に、rootパスワードとユーザーアカウントを設定します:
- rootパスワード: 強力なパスワードを設定(必須)
- ユーザーの作成: 管理者権限を持つ一般ユーザーを作成(推奨)
- インストールが完了したら「再起動」をクリックします。
3. 初期設定
- 再起動後、ライセンス同意画面が表示されるので「ライセンス契約に同意します」にチェックを入れ、「完了」をクリックします。
- 初回ログイン時に初期設定ウィザードが表示されます:
- 位置情報サービス: 必要に応じて設定
- オンラインアカウント: 必要に応じて設定
- ユーザー設定: 必要に応じて追加調整
- 設定完了後、デスクトップ環境またはコマンドラインインターフェースが表示されます。
インストール後の設定
システムアップデート
インストール直後に最新のセキュリティアップデートを適用することをお勧めします:
sudo dnf update -y
基本的な開発ツールのインストール(必要に応じて)
sudo dnf groupinstall "Development Tools" -y
日本語入力システムの設定(デスクトップ環境の場合)
sudo dnf install ibus-kkc -y
設定は「設定」→「リージョンと言語」→「入力ソース」から行います。
トラブルシューティング
ネットワーク接続の問題
VMware上でネットワーク接続がうまくいかない場合:
sudo nmcli networking off
sudo nmcli networking on
画面解像度の問題
VMware Toolsをインストールすることで解決できることが多いです:
sudo dnf install open-vm-tools -y
sudo reboot
DNFリポジトリの問題
ミラーの問題でパッケージのダウンロードが遅い場合:
sudo dnf clean all
sudo dnf makecache
まとめ
AlmaLinux OS 9.5は、CentOS Linuxの優れた代替として、エンタープライズ環境でも安心して利用できるLinuxディストリビューションです。Windows上の仮想環境で使用することで、実際のサーバー環境に近い形でLinuxを学ぶことができます。
クラウドサービスの利用が当たり前となった現在、Linuxの基本的な知識は IT エンジニアにとって必須のスキルです。この記事を参考に、自分の環境でLinuxの学習を始めてみましょう。
参考リンク
以下は2020年7月に公開した記事です。当時の技術環境を知るための記録として、内容をそのまま残してあります。
クラウドサービス(GCP、Azure、OCI、AWS)を利用するうえでLinuxの知識がないと困ることが多くなると思います。そこで本日はCentOSの仮想マシンをwindows上に作成したいと思います。自分の環境にLinuxをインストールして学習してみてはいかがでしょうか。
それでは初めにCentOS8をダウンロードしましょう。ISOファイルをダウンロードしますが容量が比較的少ないブートイメージとしました。インターネットに接続しているマシン環境なのでこちらを選択しました。インストール時にインターネットに接続が困難な場合はDVDイメージなどをダウンロードしましょう。

ダウンロードが完了したらVMwareの新規仮想マシン作成ウィザードにそって進めていきます。ゲストOSのインストールになったらインストーラディスクイメージファイルにチェックをいれて先ほどダウンロードした.isoファイルを選択します。

ゲストOSの選択ではLinuxにチェックをいれ、バージョンはCentOS8(64ビット)にしました。これによりのちに、VMwareが適切なディスクサイズ、メモリサイズを選んでくれます。
ディスク容量の指定では推奨サイズの20GBにして「仮想ファイルを単一ファイルとして格納」にチェックをいれました。あとになってファイルを違うフォーマットに変換することがよくあるのでこうしました。最後にハードウェアのカスタマイズにてメモリサイズを2048MBに変更して完了ボタンをクリックしました。

この時点でまだOSはインストールされていないので仮想マシンをパワーオンにします。今度はOS側のウィザードにしたがって進めていきます。言語の選択で日本語があるので選択します。

インストール概要の画面ではバットマークのついた個所を修正しないと次のステップへ進めません。ネットワークとホスト名にてオンにすることを最初におこなうといいでしょう。インストールソースが最寄りのミラーとなってくれます。またソフトウェアの選択ができるようになります。

ソフトウェアの選択においてはベース環境をワークステーションにしてデスクトップパソコンとして使用することにしました。選択した環境用のその他のソフトウェアはなにも選択せずあとでインストールすることにしました。これでインストールを進めることができるようになりました。必要なファイルのダウンロードや設定でしばらく時間がかかりますので待ちます。

しばらく経って完了したらrootパスワードを決めて設定完了をします。ユーザーはあとでも作成できます。License Infomationをクリックして同意しましょう。「ようこそ」が表示されOSが起動します。次へ進み位置情報、オンラインアカウントへの接続などを決め、ユーザーを作成します。


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