はじめに
近年、オープンソースのオペレーティングシステムであるLinuxは、サーバー用途だけでなく、デスクトップ環境でも広く使われるようになってきました。特に、Ubuntuは初心者にも使いやすいLinuxディストリビューションとして人気を集めています。一方、Windowsは長年デスクトップOSの主流として君臨してきました。
このような状況の中、LinuxとWindowsが混在する環境も珍しくありません。異なるOSを使用するPCの間でファイルを共有する必要性は高まっています。しかし、LinuxとWindowsではファイルシステムや管理方法が異なるため、ファイル共有の設定に戸惑う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、最新のUbuntu 24.04 LTSとWindows 10以降を対象に、両者の間でファイルを共有する方法を解説します。デスクトップ環境でのGUIによる操作を中心に、コマンドラインでの設定にも触れていきます。
記事を進める中で、実際の環境で発生したエラーとその解決方法も紹介していきます。これらの情報は、同じような問題に直面した読者の方にとって、貴重な参考になるはずです。
LinuxとWindowsの間でファイルを共有することは、一見複雑そうに感じるかもしれません。しかし、適切な設定と理解があれば、決して難しいことではありません。この記事を通じて、Ubuntu 24.04とWindowsの間でのファイル共有について、基本的な概念と実践的な方法を学んでいただければ幸いです。
それでは、まずはUbuntu側でのファイル共有設定から始めましょう。
前提条件
- Ubuntu 24.04 LTS デスクトップ版を使用
- Windows 10以降のPCを使用
- 2台のPCが同じLANに接続されている
Ubuntuでのファイル共有設定(GUI)
Ubuntu 24.04のデスクトップ環境でファイル共有を設定しようと、まず共有したいフォルダを右クリックしました。以前のバージョンでは、ここに「ローカルネットワーク共有」という項目があったのですが、見当たりません。おかしいな、と思いつつ、他の方法を探ることにしました。
調べてみたところ、Ubuntu 24.04ではファイル共有の設定方法が大きく変更されていることがわかりました。新しい手順は以下の通りです。
- アプリセンターで「Samba」を検索し、Debian版のパッケージ「Samba filesharing plugin」をインストールします。
- ターミナルを開き、以下のコマンドを入力して「nautilus-share」パッケージをインストールします。
sudo apt install nautilus-share
- システムを再起動します。
- 再起動後、共有したいフォルダを右クリックすると、「共有のオプション」という項目が追加されているはずです。
この変更により、以前のバージョンとは異なるパッケージを使用してファイル共有の設定を行うようになりました。Sambaは従来からファイル共有に使われてきたソフトウェアですが、nautilus-shareは、Nautilusファイルマネージャーの共有機能を拡張するためのパッケージです。詳しく説明すると「nautilus-share」は、GNOMEデスクトップ環境のファイルマネージャーであるNautilusにおいて、ファイルやフォルダをネットワーク上で共有するための拡張機能です。この機能を利用することで、ユーザーはNautilusのコンテキストメニューから直接、選択したフォルダを他のユーザーと共有する設定を簡単に行うことができます。主にSambaを介してWindowsネットワークとの互換性を持つ共有が可能です。
Ubuntu 24.04では、これらのパッケージを組み合わせることで、よりシームレスなファイル共有の設定が可能になったのではないでしょうか。また、「ローカルネットワーク共有」から「共有のオプション」へ名称が変更されたことで、機能の目的がより明確になったとも言えます。
慣れないうちは戸惑うかもしれませんが、新しい方法に従えば、Ubuntu 24.04でもファイル共有の設定は簡単に行えます。次のセクションでは、実際に「共有のオプション」を使ってファイル共有を設定する手順を詳しく説明します。
「共有のオプション」を使ったファイル共有の設定
前のセクションで説明した手順に従って、「共有のオプション」が表示されるようになったら、実際にファイル共有の設定を行ってみましょう。
- 共有したいフォルダを右クリックし、「共有のオプション」を選択します。
- 「共有のオプション」ダイアログボックスが表示されます。ここには、以下の設定項目があります。
- 「このフォルダを共有する」:このオプションにチェックを入れると、選択したフォルダが共有されます。
- 「共有名」:共有フォルダの名前を設定します。デフォルトではフォルダ名が使用されます。
- 「コメント」:共有フォルダの説明を入力します。任意の項目です。
- 「このフォルダー内でのファイルの作成・削除を他のユーザーに許可する」:このオプションにチェックを入れると、他のユーザーがフォルダ内のファイルを変更できるようになります。
- 「ゲストによるアクセス(ユーザーアカウントを持たない人向け)」:このオプションにチェックを入れると、ユーザー認証なしでフォルダにアクセスできるようになります。
- 「このフォルダを共有する」:このオプションにチェックを入れると、選択したフォルダが共有されます。
- 必要な設定を行ったら、「共有を作成」ボタンをクリックします。
- 正常に共有が作成されると、フォルダのアイコンが変化し、共有されていることを示すようになります。
しかし、「共有を作成」をクリックした際に、以下のようなエラーが表示されました。
‘net usershare’ がエラー 255 を返しました: net usershare: cannot open usershare directory /var/lib/samba/usershares. Error 許可がありません
You do not have permission to create a usershare. Ask your administrator to grant you permissions to create a share.
この場合は、追加の設定が必要です。次のセクションで、このエラーを解決する方法を説明します。
ファイル共有のエラー解決
前のセクションで説明した手順に従ってファイル共有を設定する際に、以下のようなエラーが表示された場合の解決方法を説明します。
'net usershare' がエラー 255 を返しました: net usershare: cannot open usershare directory /var/lib/samba/usershares. Error 許可がありません
You do not have permission to create a usershare. Ask your administrator to grant you permissions to create a share.
このエラーは、現在のユーザーがファイル共有を作成する権限を持っていないために発生します。以下の手順で、この問題を解決できます。
- ターミナルを開き、以下のコマンドを入力して、現在のユーザーをsambaグループに追加します。
sudo usermod -a -G sambashare $USER
- 次に、以下のコマンドを入力して、現在のユーザーのSambaパスワードを設定します。
sudo smbpasswd -a $USER
- 変更を反映するため、一度ログアウトして再ログインします。
- 再度、共有したいフォルダを右クリックし、「共有のオプション」を選択します。
- 必要な設定を行い、「共有を作成」をクリックします。
しかし、エラーがまだ解消されないようです。以下の手順も必要なようです。
- ターミナルを開き、以下のコマンドを入力して、Sambaサービスを再起動します。
sudo systemctl restart smbd
- 再度、共有したいフォルダを右クリックし、「共有のオプション」を選択します。
- 必要な設定を行い、「共有を作成」をクリックします。
これでエラーが解消されない場合は、以下の手順を試してみてください。
- ターミナルを開き、以下のコマンドを入力して、Sambaの設定ファイルを編集します。
sudo nano /etc/samba/smb.conf
- 設定ファイルの末尾に以下の行を追加します。
usershare owner only = false
- Ctrl+Oを押して変更を保存し、Ctrl+Xを押してnanoエディターを終了します。
- 以下のコマンドを入力して、Sambaサービスを再起動します。
sudo systemctl restart smbd
- 再度、共有したいフォルダを右クリックし、「共有のオプション」を選択します。
- 必要な設定を行い、「共有を作成」をクリックします。
ただし、この方法でもエラーが解決しない場合は、以下の手順を試してみてください。
- ターミナルを開き、以下のコマンドを入力して、
/var/lib/samba/usershares
ディレクトリの所有者とグループを変更します。sudo chown root:sambashare /var/lib/samba/usershares
- 次に、以下のコマンドを入力して、
/var/lib/samba/usershares
ディレクトリのグループに書き込み権限を与えます。sudo chmod 1770 /var/lib/samba/usershares
- 設定変更を反映するために、以下のコマンドを入力してNautilusを再起動するか、システムを再起動します。
nautilus -q
- 再起動後、再度フォルダを右クリックして「共有のオプション」を選択し、設定を確認します。
** Message: 19:33:29.006: Connecting to org.freedesktop.Tracker3.Miner.Files
上記の、nautilus -q
コマンドを実行すると表示される Connecting to org.freedesktop.Tracker3.Miner.Files のメッセージは、通常エラーではなく、NautilusがTracker(ファイルのインデックス作成と検索サービス)と通信しようとしていることを示しています。これは無視しても大丈夫です。このメッセージが表示されたままでも、Nautilusが正常に再起動されていれば、共有設定に影響はありません。
これらの手順を実行することで、Sambaの共有ディレクトリに対する適切な権限が設定されますが、フォルダの設定も必要です。
フォルダの権限設定
Sambaでファイル共有を行う際、共有フォルダの権限が適切に設定されている必要があります。通常、フォルダの権限は755や775に設定することをお勧めします。これらの権限では、フォルダの所有者は読み書き可能で、他のユーザーは読み取り専用のアクセスが許可されます。
777の権限は過剰な場合があり、セキュリティ的な理由からSambaの共有が制限されることがあります。実際にGUIの操作では777の時共有しようとするとエラーになりました。
フォルダの権限をGUIで変更するには、以下の手順を実行します。
- 共有したいフォルダを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 「Permissions」タブを選択します。
- 以下のように権限を設定します。
- 所有者:
アクセス:Create and Delete Files - グループ:
アクセス:Access Files - その他:
アクセス:Access Files
- 所有者:
- 閉じるボタンをクリックします。
これらの権限設定により、Sambaでのファイル共有が正常に機能するはずです。しかし、共有すると777になります。
日本語フォルダ名の共有に対応するための設定(必要に応じて)
まずは、文字コードの設定を変更せずに日本語フォルダ名での共有を試み、問題が発生する場合にのみ設定を変更することをお勧めします。日本語フォルダ名の共有に対応させるには、Sambaの設定でエンコーディングを日本語対応に調整する価値があります。以下の手順で設定を行うことで、日本語フォルダ名やファイル名が正しく表示される可能性があります。
- ターミナルを開き、以下のコマンドを入力して、Sambaの設定ファイル(
smb.conf
)を編集します。sudo nano /etc/samba/smb.conf
[global]
セクションに、以下の設定を追加します。
# 日本語フォルダ対応の文字コード設定unix charset = UTF-8
dos charset = CP932
display charset = UTF-8
unix charset = UTF-8
:Linux側でUTF-8を使用する設定です。dos charset = CP932
:Windowsクライアントが接続する際にShift-JIS(日本語対応)を使用する設定です。display charset = UTF-8
:Sambaの内部表示をUTF-8に設定し、日本語の表示に対応させます。
- 設定を保存し、ファイルを閉じます。
- 以下のコマンドを入力して、Sambaサービスを再起動し、設定を反映させます。
sudo systemctl restart smbd
- 再度、日本語フォルダ名での共有を試みます。
これらの設定により、日本語のフォルダ名やファイル名が正しく表示され、共有が正常に機能するようになるはずです。
Sambaの手動設定
GUIでのファイル共有設定でエラーが解決しない場合は、Sambaの設定ファイルを直接編集し、ユーザーを手動で設定する方法を試してみましょう。
- ターミナルを開き、以下のコマンドを入力して、Sambaの設定ファイルを編集します。
sudo nano /etc/samba/smb.conf
- 設定ファイルの末尾に、以下のように共有するディレクトリの設定を追加します。
[共有名]
path = /path/to/shared/folder
read only = no
browsable = yes
- 「共有名」は、Windowsからアクセスする際の名前です。
- 「path」は、共有するディレクトリの実際のパスに置き換えてください。
- Ctrl+Oを押して変更を保存し、Ctrl+Xを押してnanoエディターを終了します。
- 最後に、以下のコマンドを入力して、Sambaサービスを再起動し、設定を反映します。
sudo systemctl restart smbd
これで、Sambaの手動設定は完了です。Windowsから先ほど設定した「共有名」を使ってアクセスできるはずです。できるだけGUIでの設定でエラーを解決したかったのですが、手動で設定することもできます。
次のセクションでは、いよいよWindowsからの接続方法を説明します。Sambaの設定が完了したら、実際にWindows側からアクセスできるか確認してみましょう。
Windowsからの接続
Windowsからの接続
Ubuntu側でファイル共有の設定が完了したら、Windows側からその共有フォルダにアクセスしてみましょう。
- Windowsのエクスプローラーを開き、アドレスバーに以下のように入力します。
\\<UbuntuマシンのIPアドレス>
- Enterキーを押すと、Ubuntu側で共有設定したフォルダが表示されます。
- 共有フォルダをダブルクリックすると、ユーザー名とパスワードを求められる場合があります。その場合は、Ubuntuの既存のユーザー情報を入力してログインします。
ゲストアクセスが機能しない場合の対処法
ゲストアクセスを許可しているにもかかわらずログイン画面が表示される場合、Sambaの設定がゲストアクセスを完全には許可していない可能性があります。以下の手順で設定を確認し、必要に応じて変更を加えます。
- ターミナルを開き、以下のコマンドを入力して、Sambaの設定ファイル(
smb.conf
)を編集します。sudo nano /etc/samba/smb.conf
- 該当する共有フォルダのセクションに、以下の設定が正しく追加されているか確認します。
[共有名]
path = /home/mamu/ドキュメント
read only = no
browsable = yes
guest ok = yes
force user = mamu
guest ok = yes
はゲストユーザーのアクセスを許可します。force user = mamu
はすべてのアクセスを指定したユーザー(例ではmamu
)に強制し、認証なしでアクセスできるようにします。
- 設定を保存し、ファイルを閉じます。
- 以下のコマンドを入力して、Sambaサービスを再起動し、設定を反映させます。
sudo systemctl restart smbd
これで、Windowsからアクセスするときに認証が不要になるはずです。再度、Windows側からアクセスを試みて、ゲストアクセスが正常に機能するか確認してください。
以上の内容を記事に追加することで、読者はゲストアクセスが機能しない場合の対処法を学ぶことができます。また、Sambaの設定ファイルの編集方法と、ゲストアクセスを有効にするための具体的な設定項目についても理解を深めることができるでしょう。
次のセクションでは、ファイアウォールの確認について説明します。Ubuntu側でファイル共有の設定を行っても、ファイアウォールが適切に設定されていないと、Windowsからアクセスできない場合があります。
ゲストアクセスを無効にし、認証を必須にする
セキュリティ上の理由から、ゲストアクセスを無効にし、指定したユーザーのみがアクセスできるように設定することをお勧めします。以下の手順で設定を行います。
- ターミナルを開き、以下のコマンドを入力して、Sambaの設定ファイル(
smb.conf
)を編集します。sudo nano /etc/samba/smb.conf
- 該当する共有フォルダのセクション(例として
[共有名]
セクション)に、以下の設定を追加または変更します。[共有名]
path = /home/mamu/ドキュメント
read only = no
guest ok = no
valid users = mamu
guest ok = no
:ゲストユーザーのアクセスを禁止します。valid users = mamu
:mamu
ユーザーだけがこの共有にアクセス可能になります。他のユーザーがアクセスしようとすると拒否されます。
- 設定を保存し、ファイルを閉じます。
- 以下のコマンドを入力して、Sambaサービスを再起動し、設定を反映させます。
sudo systemctl restart smbd
この設定により、指定されたユーザー(ここでは mamu
)だけがアクセスできるようになります。Windowsからアクセスする際に、このユーザー名とパスワードでログインすれば、認証付きでアクセスできるはずです。
注意点
WindowsとUbuntuでユーザー名とパスワードが一致している場合、Windowsは自動的に同じ資格情報を使用して接続しようとするため、認証画面が表示されないことがあります。これはWindowsの便利な機能ですが、場合によっては意図した認証プロンプトが表示されず、手動でのログインが難しくなることもあります。
このような場合は、Windowsの資格情報マネージャーから、該当するUbuntuマシンの資格情報を削除することで、手動でのログインが可能になります。
以上の内容を記事に追加することで、読者はゲストアクセスを無効にし、特定のユーザーのみがアクセスできるように設定する方法を学ぶことができます。また、WindowsとUbuntuのユーザー名とパスワードが一致している場合の注意点についても理解を深めることができるでしょう。
UbuntuからWindowsや他の共有フォルダにアクセスする方法
UbuntuデスクトップからWindowsや他の共有フォルダにアクセスするには、ファイルマネージャーを使う方法とコマンドを使う方法の2通りがあります。
1. ファイルマネージャーでのアクセス方法(GUI)
UbuntuデスクトップからWindowsや他の共有フォルダにアクセスする方法
UbuntuデスクトップからWindowsや他の共有フォルダにアクセスするには、ファイルマネージャーを使う方法とコマンドを使う方法の2通りがあります。
1. ファイルマネージャーでのアクセス方法(GUI)
- ファイルマネージャーを開きます(通常は「ファイル」または「Nautilus」)。
- Ubuntuや他のLinuxディストリビューションのファイルマネージャーは、Windowsのエクスプローラーと同じ役割を果たします。ファイルやフォルダを閲覧・管理したり、ネットワーク共有フォルダにアクセスするなどの操作ができます。
- Ubuntuのデフォルトファイルマネージャーは「Nautilus」と呼ばれ、エクスプローラーと似た操作感で使えます。サイドバーでフォルダを選択したり、「他の場所」からネットワーク共有フォルダに接続する機能もあります。
- サイドバーの「他の場所」を選択します。
- 画面下の「サーバーに接続」フィールドに、次のように入力します。
smb://<共有先のIPアドレスまたはホスト名>/
例:smb://192.168.1.10/
- 接続ボタンをクリックし、必要に応じてユーザー名とパスワードを入力します。
これで、ファイルマネージャー上で共有フォルダにアクセスできます。
2. コマンドによるアクセス方法(ターミナル)
ターミナルからアクセスするには、smbclient
コマンドを使います。以下の手順で試してください。
smbclient
をインストールします。- 注意:
smbclient
は初めからインストールされていない場合があります。
sudo apt update
sudo apt install smbclient
- 注意:
- 共有フォルダに接続します。
smbclient //共有先のIPアドレス/共有フォルダ名 -U ユーザー名
例:smbclient //192.168.1.10/ドキュメント -U username
注意:共有フォルダ名を指定しないと、何も起こりません。 - プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。
これで、共有フォルダにアクセスできるはずです。smbclient
内では、FTPライクなコマンドでファイルの一覧表示(ls
)、ファイルの取得(get ファイル名
)、ファイルの送信(put ファイル名
)などが利用できます。
正常に接続されると、次のようなプロンプトが表示されます。
smb: \>
ファイルの取得と保存先
smbclient
でget ファイル名
コマンドを使用した場合、現在の作業ディレクトリにファイルが保存されます。作業ディレクトリは、smbclient
コマンドを実行したターミナルでのカレントディレクトリです。
例えば、/home/mamu
ディレクトリでsmbclient
を実行した場合、get ファイル名
コマンドで取得したファイルは/home/mamu
に保存されます。
現在の作業ディレクトリを確認するには、pwd
コマンドを使用します。
pwd
get ファイル名
を実行する前に、lcd
コマンドでローカルの保存先を変更することもできます。
lcd /home/mamu/保存先ディレクトリ
get ファイル名
このようにすれば、指定したディレクトリにファイルが保存されます。
スペースを含むファイル名の取得
get
コマンドでスペースを含むファイル名を指定する場合、そのままファイル名を入力すると、以下のエラーが発生しました。
smb: \> get 2024-10-30 17-22-24.mkv
NT_STATUS_OBJECT_NAME_NOT_FOUND opening remote file \2024-10-30
このエラーは、ファイル名にスペースが含まれているため、smbclient
がファイル名を正しく認識できていないことが原因です。
エラーを解決するには、以下のいずれかの方法でファイル名を指定します。
- ファイル名全体をダブルクォーテーション(
" "
)またはシングルクォーテーション(' '
)で囲む。get "2024-10-30 17-22-24.mkv"
- バックスラッシュ(
\
)を使ってスペースをエスケープする。get 2024-10-30\ 17-22-24.mkv
これらの方法を用いることで、smbclient
がファイル名全体を1つのファイルとして認識し、正しくダウンロードできるようになります。
smb: \> get "2024-10-30 17-22-24.mkv"
getting file \2024-10-30 17-22-24.mkv of size 3556859 as 2024-10-30 17-22-24.mkv (6878.2 KiloBytes/sec) (average 6878.2 KiloBytes/sec)
UbuntuマシンをWindowsネットワークの一覧に表示させる
現状では、WindowsネットワークでUbuntuが一覧に表示されないものの、アクセス自体は可能です。しかし、Ubuntuマシンを一覧に表示させることで、よりシームレスにアクセスできるようになります。そもそもWindowsPCも表示されない時はネットワーク探索と共有の設定を確認が必要かもしれません。
Ubuntu PCを表示させるため、wsdd2
(Web Services Dynamic Discovery)を使用します。以下の手順でwsdd2
をインストールしてください。
sudo apt install wsdd2
wsdd2
をインストールすると、Sambaの設定を済ませたUbuntuマシンがWindowsネットワークの一覧に表示されるようになります。
注意:
wsdd2
をインストールした直後は、ファイアウォールが無効になっている状態で確認しました。ファイアウォールが有効な場合、追加の設定が必要になる可能性があります。
また、「SMB 1.0/CIFSファイル共有サポート」を有効にしておく必要があります。
ファイアウォールの確認と設定
Ubuntuでファイル共有を行う際、ファイアウォールが適切に設定されていないと、Windowsからアクセスできない場合があります。ここでは、ファイアウォールの確認方法と必要な設定について説明します。
wsdd2で使用するポートの確認
wsdd2
は、以下のポートを使用してサービスの検出を行います。
- WSD(Web Services for Devices):
- マルチキャストアドレス: 239.255.255.250 および ff02::c
- プロトコル: UDP
- ポート: 3702
- ユニキャストSOAP HTTP WS-Discoveryレスポンダー: TCP ポート 3702
- LLMNR(Link-Local Multicast Name Resolution):
- マルチキャストアドレス: 224.0.0.252 および ff02::1:3
- プロトコル: UDP
- ポート: 5355
- ユニキャストレスポンダー: TCP ポート 5355
ファイアウォールの設定を行う際は、これらのポートが開放されていることを確認してください。
まとめ
Ubuntu 24.04デスクトップでファイル共有を行う際、以下の手順で問題なく設定できることを確認しました。特筆すべき点は、Sambaのインストールや設定ファイルの編集が不要であることです。
nautilus-share
のインストールsudo apt install nautilus-share
- インストール後、ログアウト(再起動は不要)
- ユーザー設定(現在のユーザーに設定。新規ユーザーでも可能)
sudo usermod -a -G sambashare $USER
sudo smbpasswd -a $USER
- Sambaサービスの再起動
sudo systemctl restart smbd
- 権限の設定
sudo chown root:sambashare /var/lib/samba/usershares
sudo chmod 1770 /var/lib/samba/usershares
- Nautilusの再起動
nautilus -q
- 再起動が必要でログアウトではNG。
以上の手順を実行した後、「共有のオプション」からGUIで操作することで、ファイル共有を設定できます。ファイルのパーミッションについては、特に変更する必要がありませんでした。
この記事では、Ubuntu 24.04でのファイル共有設定について、さまざまな方法や問題の解決策を詳しく説明してきました。しかし、実際に検証したところ、Sambaのインストールや設定ファイルの編集が不要であり、上記の手順で十分にファイル共有が機能することがわかりました。
読者の方々には、まずこの簡略化された手順を試していただき、問題が発生した場合には記事中の詳細な説明を参考にしていただくことをお勧めします。
Linuxでのファイル共有は、ディストリビューションやバージョンによって設定方法が異なる場合があります。今後も、実際の環境で検証を重ねながら、読者にとって最も有益な情報を提供していきます。
以下の記事は2022年1月に書いたものですが、記念として残しておきます。
WindowsとLinuxでファイルの共有をします。コマンド入力による設定はしないこととします。
最初にubuntu20.04の設定からおこないます。デスクトップ版をインストールしたばかりの状態で、2つのPCは同じLANに属しています。
共有したいフォルダを右クリックして「ローカルネットワーク共有」をクリックします。次に「このフォルダを共有する」にチェックをいれると共有サービスがインストールされていないと表示されるのでサービスをこのままインストールします。
インストール完了後は「このフォルダ内でのファイルの作成・削除を他のユーザーに許可する」及び「ゲストによるアクセス」にチェックを入れます。ファイルの読み取りだけなどに変更することはあとからでもできます。また、特定のユーザーに認証してアクセスを許可する場合、ゲストによるアクセスはしないようにしますが、コマンド入力が必要になるのでここではやりません。
これでWindowsからアクセスできる準備はできました。その前にこのPCのIPアドレスを確認しておきます。設定にあるネットワークで確認できます。IPアドレスではなくPC名でもアクセスできます。
windows10でスタートボタンを右クリックして「ファイル名を指定して実行」をクリックし下記の内容を入力します。
\\IPアドレス
または
\\PC名
共有フォルダにアクセスできました。
ファイアウォールも気にすることなくアクセスできましたが、せっかくなのでツールをインストールして確認します。ubuntu softwareでgufwと検索すると見つかります。ファイアウォールは無効になっていました。